ほんの十数年で大きく変化したキャッシングの歴史は今後どうなる?

キャッシング業界の歴史はそんなに長いものではなく、今の消費者金融会社や銀行のキャッシングローンも第二次世界大戦前から続くような老舗などというものはありません。サラ金や消費者金融という言葉が生まれ、サラリーマンをはじめとする個人向けの融資が盛んになったのも50年ほど前のことからなのです。「金貸し」というのは奈良時代からあり、江戸時代には幕府が年利を決めていたといわれていますが、今のキャッシングローンにつながっているものではありません。

そんな短い歴史の中で、キャッシング業界は大きな変化をしています。それは利息の引き下げであったり、多重債務にならないような融資限度額の設定であったり、過剰な取立ての制限であったりと多岐に渡っています。

ところで、みなさんはキャッシングのメイン企業である消費者金融会社の利益の源は何かご存知でしょうか。それは利用者から支払われる利息がほとんどで、きっちり返してもらうことが規模の小さい会社になればなるほど重要になってくるわけです。そのため、返済に遅れた利用者に対しては脅しのような手段を使ってでも回収しなければと躍起になったのもわかるような気がします(もちろんそれがいいことではありませんが)。

そんな消費者金融界会社の利益の源である利息は、2010年の法改正全面施行によって大幅に引き下げを余儀なくされました。それまでグレーゾーン金利と呼ばれて問題視されていた金利の最高利率は29.2%。今は10万円以下の融資でも最高20%ですから、業者にとっては大打撃となったことは間違いありません。それに加えてそのグレーゾーン金利による「過払い返還請求ブーム」で経営難に陥った業者も多く、貸金業者の数そのものが大きく減少したのもここ数年の流れです。

監督官庁である金融庁の発表によれば、平成16年に約24,000社あった貸金業者は法改正の施行された平成22年には約4,000社へと激減。さらにその翌年の平成23年には約2,600社へと数を減らしています。その後はなだらかな減少になっていることから生き残り競争に一段落といったところでしょうが、最高で4万社を超えていたことから考えると「栄枯盛衰」の波が激しかったことをうかがい知ることができます。

今後、政策や経済状況でどのようになるかは変わるのでしょうが、キャッシング事業への銀行の積極的な参入や正規雇用から非正規雇用への流れ、少子高齢化の波も大きくなる一方の現状から考えると、消費者金融業界にとってはさらに厳しい時代が続くのではないでしょうか。

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